Toys Hero 70's

TOYS HERO 70's / Micronauts


■「小さな巨人ミクロマン」。直訳はLittle Giant Micromanですが、矛盾するタイトルのせいかアメリカで販売された時のシリーズ名は「マイクロノーツ」でした。

これは昭和70年代の代表玩具だと個人的に思ってます。
「ミクロマン」はその前の「変身サイボーグ」シリーズが大型玩具で高価だった事の反動から、小型玩具で乗り物等を充実させる方針で造られた玩具です。

正式名称は「小さな巨人ミクロマン」。「ワレは小さいんか、大きいんか?」と悩む二重否定のようなタイトルです。あと「池乃めだか」でもないのでカニバサミもしません。

ミクロマン玩具は‘安価’なので(変身サイボーグは大型で高価なんで買ってくんなかった)、親が何体か買ってくれた思い出深い商品です。もちろん自分の小遣いで買ったのもアリアリ。

ミクロマンはテレビ番組では無く、玩具のみの展開。
一応は漫画版がありますが、内容は完全に販促用で新商品が登場する度に漫画のキャラクターも無尽蔵に増えて行きます。月刊誌連載だったので、下手すると1話毎にどこからか突然仲間がやって来るって展開。


※ビルドハウス等の基地玩具は憧れでした。

ミクロマン本来のストーリーは玩具に付属の小冊子に書かれています。このストーリーが衝撃的でした。

ミクロマンは住んでる星が爆発して脱出する際に、長期間宇宙空間を漂流可能にするため自らの身体を小さく改造したという設定。なんでミクロマンの身体は機械で覆われているのですが、顔はロダンの「考える人」みたいな西洋彫刻風の人間です。

そして敵役のアクロイヤーは、顔からしてロボット然としており手も鉄球やマジックハンドで背中にはプロペラが生えてる等、およそ人間の形状ではありません。

しかし、実は両者は元々同族だったのです。母星を脱出したミクロマン達は宇宙カプセルに入って長期間漂流した後、地球に辿り着きます。彼らは直ぐに目覚める事は無く、そのまま海中に沈んで長い漂流の傷を癒していました。

しかし、綺麗な海に落ちた者は幸運でしたが、不幸にも人類の公害によるヘドロの海に沈んだミクロマン達は狂って行きます。そして顔も身体も醜く変貌してアクロイヤーとなり、狂気に駆られて人間達を襲うようになります。

そんなアクロイヤーから人類を守る為にミクロマンは立ち上がった、というのがストーリーの概要です。


またアクロイヤーは脳が単細胞化されており話し合いによる相互理解は不可能となってます。しかしアクロイヤーは元々同族なので仲間にする事も出来るって設定もありました。
ただ、その手段が‘洗脳’です。悪の手先じゃなくて、正義の味方が敵を洗脳して手駒にするという、どっちが正義か分からない事を平気でします。

これアクロイヤー側からすれば、人類の所為で自分たちは狂わされ身体も変貌させられたんだから怒る理由は充分あります(まぁ勝手に地球に来たやんって話は置いといて)。
それを今度は元同族からの洗脳で無理矢理手先にされて、同じ境遇のアクロイヤーを討つってどういう地獄なの?と子供心に思いました。
子供向け玩具なのに設定が鬼畜過ぎるわ!

漫画版では元ストーリーは流石に酷過ぎたのか、アクロイヤーと同族である事はサラッとだけ説明されてます。

商品展開の都合で正義のミクロマン側は玩具が沢山出るのに対して、悪のアクロイヤー側は玩具が少ないです。ヒーローサイドの方が良く売れるからね〜諸行無常だ。

漫画版は商品展開に忠実な販促前提です。なんで結果として次から次へとミクロマン側は仲間や新兵器が増えるのに、アクロイヤーはたった二人だけで乗り物すら無い状況に。
ミクロマン秘密基地は玩具が有るので漫画版に登場しますが、アクロイヤー側には基地玩具が有りません。
必然的に漫画版でのアクロイヤーは宿無し野宿。彼らは普段ビルの屋上に二人だけで座り込み黄昏ています。こんな涙を誘うような可哀想な状況の侵略者は他で見た事がありません。

正義と悪のパワーバランスが完全崩壊しているので、後からテコ入れで「総統アクロイヤー」が一人増えて三人に。手下二人しか居ないのに「総統」を名乗るってのもねぇ〜。
総統アクロイヤーも他のアクロイヤーと同じくヘドロの海に落ちちゃったんですが、比較的汚染が軽度のため頭が良いとされてます。
ただ漫画版では他のアクロイヤーと頭の良さはドッコイどっこい。あと総統アクロイヤーは何故かF1レーシングカーに変形出来ます(当時「グランプリの鷹」とか流行ってたからね〜)。


※アクロイヤー2。ミクロマンよりこっちが好き。

正義側が完全なパワーインフレなんで、劇中で商品展開に関係無くアクロイヤーもパワーアップを図ります。
しかし脳がトロけている設定の所為か、カブトムシやクワガタの角や翅を付けて「武装強化だ」と威張っている始末。劇中でもこのパワーアップは何の役にも立ってなかった。
現実の商品展開だけでなく、漫画でも扱いが悲惨過ぎるだろアクロイヤー。

余りの戦力差を考慮したのか、漫画版アクロイヤーはビルほどの大きさになる巨大化能力が付与されてました(これについても何の説明も無い)。
因みに巨大化したアクロイヤーと戦う際、ミクロマンもシレッと人間サイズに乗り物ごと巨大化していますが、全く説明はありません。
今ならネットの書き込みで叩かれても可笑しくない展開ですが、当時は誰も声を上げません。いい(加減な)時代やったな〜。

あと漫画版ではミクロマン側も異星人としての面が強調されているのか結構非情です。スパイマジシャン(スパイなのかマジシャンなのか?)という仲間が増えるのですが、彼らは隠密行動に重点を置いて活動します。
なので、彼らの秘密基地の上に運悪く居たラーメン屋の屋台が襲われオヤジが殺された時も傍観しています。
ホントに正義の味方なの、って思わされるチグハグな行動がアチコチで見られます。


今回用意したミクロマン玩具は平成に入ってリメイクされたモノがほとんどです。かなり今風にデザインされており、正直買う時は昭和の子供心が黄泉還りワクワクしたくらいです。
その上、昭和版の再販も近年では行われています。

因みに私は敵側のアクロイヤーが好きで、子供の頃はアクロイヤー系玩具ばかり買って貰ってました。ただ、前述の様に昭和時代は商品展開が少ないので涙した覚えが、、、、。
そのため同じ玩具の色違いを購入してました。おかげで親に「おんなじの持ってるでしょう!」「色が違うねん!」というテンプレな親子喧嘩が良くありましたな〜。


※アクロイヤー1。子供の時、最初に買ったミクロマン。

そしてこのミクロマン玩具、一番興味を持たれそうにないJrのお母様方から興味を持たれました。お母様方から自発的にミクロマンを手に取られ「これなんでしたっけ?」と尋ねて頂きます。

喜び勇んで飛んで舞い上がって小躍りゼログラビティしながら「ミクロマンです。これはテレビ媒体での放送が無い玩具のみの展開で、ミクロマンの人形にストーリーが載ったリーフレットが付いて世界観を説明していたんです。でも、私は正義側のミクロマンより敵側のアクロイヤーの方が好きなんです。敵側はシャープなロボットみたいな造形で、、、」とナイアガラの滝の如く一気呵成に語ります。
しかし、話の途中で他のマダムさんから「そういやNHKでガンダム総選挙ってやってませんでした」とパクッと話を逸らされます。
そのままマダム方の話題はミクロマンで縋る私を追い払ってガンダムに行ってしまいました。

ガンダムとミクロマンは全然関係無いんだよ〜。

そういや好きなガンダムで思い出しましたが、映画「ガンダムF91」の続編はまだなんでしょうか?もう20年くらい待ってる気がするんですが、、、。


ミクロマン+アクロイヤーの妄想ブンドド(ミクロマン200XシリーズVer)。
全て平成ミクロマン。乗り物はアメコミ玩具の流用です。

1/18サイズのバイクフィギュアに搭乗させるとチョウドイイ。

ミクロマン200Xシリーズ。平成に展開された新ミクロマン。女性体も居ます。
昭和版は男性と女性の見分けが付かなかった(顔も体型もほぼ同じだった)が、平成版は体型からして男女の違いが出ています。
ほんでこの女性ミクロマンは家政婦で刺客っていう謎なキャラクター(武装にコードレスクリーナー型レーザーガンが付属)。相変わらずミクロマンの設定は訳が分からない。

ミクロマン200Xシリーズのアクロイヤー達。よりロボットっぽい外見になり格好良くなりました。今回は購入してませんがアクロイヤー側にも女性体が出来ました。

これが昭和の再販版。ミクロマンを収納出来るカプセル付き。このカプセルは「イースター島のモアイ像」なんですが、なんか間抜けな顔になっており全くモアイに見えない。

タカラトミーがトランスフォーマーで大儲けをしてた余波で、平成10年頃に遂にミクロマンのアニメが造られました(同時期に戦うリカちゃん人形のアニメも作られていた!?)。
そのDVD第1巻を用意。
玩具のシリーズ名は「ミクロマン・マグネパワーズ」。因みにDVDパッケージ右上の男前の名前は「イザム」、ちょうど「シャズナ」が流行ってた時期やからね〜。

ミクロマン・マグネパワーズのフィギュア。アニメに準拠して造られたシリーズ。
200Xシリーズより前なので、どことなく昭和版テイストが残ってます。特徴として従来のミクロマンにょりも一回り小さい。あとマグネットが必ず組み込まれてます。

2014年からの最新シリーズ「ミクロマンアーツ」。オリジナル設定とかは何処かへ吹っ飛んで色んな作品とコラボするようになりました。
これはガメラとのコラボ「着ぐるみミクロマン」シリーズ。ミクロマンにガメラの着ぐるみを着せるという意味不明な玩具。このミクロマン・リキはオタクという設定に。
一体何がしたいんだ、タカラトミー!?

こちらもミクロマンアーツシリーズ。最新作は「艦これ」というゲームとコラボ。
武装しているのでミクロマン的です。

ラブライブともコラボしています。しかもメンバー9人全員がミクロマン化しています。
ミクロマンなのに武装は付いてません。付属のマイクを握らせることは出来ます。
ミクロマンアーツの広告には「セクシーなボディラインを再現」と書いてますが、ミクロマンはちっさいからセクシーって言われても分かんねぇんだよ。と言うか誰もミクロマンにそんなものは求めていません。

ラブライブのミクロマンVerとバンダイのフィギュア―ツVerとの比較(ミクロマンはタカラトミー)。大きさが違うので仕方ありませんが、ミクロマンVerも頑張ってるけど顔の出来に差が出ます。あといつものUFOキャッチャーのフィギュアと並べるとミクロマンはかなり小さい。
因みにタカラトミーもバンダイも同じ衣装での立体化。やっぱ両社はライバル心を燃やしているのでしょうか、、、。

他にもミクロマンは「プリパラ」ともコラボしてます。
一体何処へ逝こうとしているのか、ミクロマン、、、。