■平成仮面ライダー第1期のライダー6作目{仮面ライダー響鬼」です。
主役がこれまでの様に新人俳優では無く、家電俳優ことベテラン俳優の細川茂樹が演じてます。
非常に「和」テイストな作品で、ライダー達は「鬼」と呼ばれています。必殺技もキックではなく太鼓を叩いて倒します(サブキャラはラッパやギターを使います)。
※ガシャポンの仮面ライダー響鬼でジオラマ風
しかし、本作の最大の特徴は「お子様でも安心して観せれる平成ライダー」です。
これまでの平成ライダーは、全怪人が純粋に殺人ゲームを楽しむ「クウガ」、神様が人間を滅ぼすとか言い出す「アギト」、ダイレクトにライダー同士で殺し合う「龍騎」、敵味方ともに人間不信で同士討ち多発の「ファイズ」、主人公たちの滑舌が酷くセリフが「オンドゥル語」と揶揄される「ブレイド」と小さい子に安心して見せれるのかな、と思う話が多いのですが、これらと比べるとダントツに安心してみせられるライダーです。
まず仮面ライダーは全員良識のある大人なので子供じみたケンカはしません。目的も純粋に人間を守ることなので仲間割れもしません。いい歳した大人なのでコミュ力は充分。互いのコミュニケーションも円滑で危機には協力して立ち向かいます。
これだけでもこれまでの平成ライダーと随分違います。どちらかと言うと昭和ライダーの雰囲気です。
物語は仮面ライダー響鬼が中心ではなく、彼に憧れる中学生男子の視点から進みます。この子が本筋の戦闘とは関係無く、中学生日記みたいに将来に悩んだり、不良に絡まれたりと色々な事件に巻き込まれつつも成長していくのがテーマの一つ。
なのでこれまでの仲間割れ上等な平成ライダーと違い非常に健全な物語となってます。
仮面ライダー響鬼の目的は、人間を襲う妖怪を狩ること。平安時代から響鬼たちと妖怪は世代を超えて争っています。そして長い闘争の歴史の中で仮面ライダー側には大きな組織が出来ている設定。
本拠地は奈良県吉野、日本中に支部があり、響鬼ら実働部隊が100名ほど、そのサポートをする仲間が1,000名ほど居るという大所帯。驚くことに民間組織なので、甘味処からキャンプ用品版売店など多店舗を経営しており資金も潤沢にある様子。あと過労死しないように仮面ライダーの勤務はシフト制になって有休も取れます。
対して敵側の詳細は一切語られない。大概の事件の発端は童子と姫と名乗る一対の怪人(何度も倒されますが同種が沢山居る)が人間を捕食する巨大な妖怪を育てるトコから始まります。その事件をライダー側は過去の記録を調べながら対策を練り、妖怪が成長する前に撃破する流れとなってます。
そんな話なので、正義の鬼達の方が悪者よりも先回りして叩く展開も多い。
その中で笑えたのが鬼(仮面ライダー)が先回りして妖怪を封じた際に、努力を無にされた童子と姫が「鬼か!」と罵倒すると仮面ライダーが「鬼だよ」と返されて童子も姫も黙ってしまうシーンがお気に入りです。
この仮面ライダー「和テイスト」にしたせいか玩具が全く売れなかったそうです。特にナリキリ玩具系の変身アイテムや武器アイテムが爆死状態だったそうな。劇中に登場する「ディスクアニマル」というCD型のディスクが変形して動物のカタチに変化する玩具はオモチャ賞を取るくらい評価されたのに。
やはりメイン武器が‘太鼓’というのが地味で受けなかったようで、三人目の副主人公が使うギター玩具の方が売れたそうです。
テコ入れか途中で話がガラッと変わります。まずカネの掛かる山野でのロケは無くなり、戦いの舞台は街中に。敵も巨大な奴はCG代が掛かるので、安価な等身大着ぐるみに。物語の視点だった中学生は響鬼の弟子見習いとなり、中学生日記みたいな日常シーンは激減。
その変更のせいか、設定とオープニングで登場していた他の鬼(全部で11人居る)は登場しません。路線変更前も含めてレギュラーの響鬼、威吹鬼、轟鬼、斬鬼以外に登場したのは裁鬼、弾鬼、鋭鬼、勝鬼のみ。
うち人間態も変身態も登場したのは弾鬼のみ。裁鬼の人間態は写真のみ(しかも助監督の顔写真)。鋭鬼は変身態のみで逆に勝鬼は人間態のみの登場。
関東十一鬼と呼ばれるのに実際は7人しか出なかったのは残念です。
ただ人間態で出演していた弾鬼や勝鬼もスーツアクターさん兼務だったそうで、最初から全員を出すという予定は薄かったのかも知れません。
レギュラー以外の鬼はそんな扱いなので、最後の戦いも従来と同じくメイン3体の鬼で戦います。せめて最後くらいは少年漫画の熱い展開の如く「加勢に来たぜ!」って感じで全員を登場させることは出来なかったんかいね〜。
ストーリーも最後まで敵が全く謎のままなので、なんの決着も着いてません。途中、童子と姫以外にも暗躍する者が現れたり、従順だった童子と姫が自我を持ったりと話が動きそうだったのに、結局は何も分からないまま。
これについては主役を演じた家電俳優さんも「(あの終わり方は)残念だ」というようなコメントを出していました。
元々仮面ライダー響鬼は仮面ライダーシリーズでは無く、昭和の特撮時代劇「変身忍者嵐」(原作は同じ石ノ森章太郎)のリメイク企画だったとか。確かに劇中に変身忍者嵐とソックリな鎧が登場していたので繋がりを感じます。でも、今更時代劇にしても受けなかったでしょうな〜(但し、劇場版は初期構想どおり戦国時代を舞台にしてます)。。
※今回の玩具&DVD
DVDは第1巻〜7巻(内容が路線変更になる前)まで。此処までで話としては一旦区切りが着きます。あと劇場版DVDもあります(戦国時代を舞台に響鬼の祖先たちが戦います)。
玩具については、キカイダーの時と同じくバンダイのSIC(スーパーイマジネーション超合金)シリーズのフィギュアを2体。主役の響鬼が無くて、副主人公の威吹鬼と斬鬼の2体。
これらは大きい上に造形も素晴らしく武器のトランペットとギターも付属しています。なによりフィギュアの可動域も広く、ポーズもかなり自由に取らせられます。
※SICシリーズはUFOキャッチャーのフィギュアと同じくらいの大きさです。
主役の響鬼についてはSIC小型版「SIC極魂」という可動フィギュアを用意しました。サイズこそ小さいですが、造形レベルも可動レベルの本家SICに負けてません。
※極魂シリーズはガシャポン(フィギュア)大くらいの大きさです。
他は当時販売されていた「変身装着シリーズ」の響鬼、威吹鬼、斬鬼、轟鬼の正副主人公4体。これは素体にヘルメットやアーマーを被せる事で仮面ライダーにするフィギュア。
それぞれパーツ交換が出来るので響鬼の頭に威吹鬼の胴体、斬鬼の腕アーマーとオリジナルなライダーも作れます。SICシリーズに比べたら完全にオモチャの扱い。
そして放送当時おもちゃ大賞を取ったという「ディスクアニマル」。CDみたいなプラスチックの丸板をカチャカチャと変形させるとオオカミやワシ、カエルに変形する玩具です。今回はオオカミのみです。この玩具は構造的に脆いのか今は余り売ってません(鷹になる奴が素晴らしかったんだけどな〜)。
少し前ですが百均の玩具コーナーにこの「ディスクアニマル」の劣化版が売ってました。CD板から動物に変形させるトコも一緒。ただ現在は、もうドコにも売ってないのでバンダイから特許関係で訴えられたんでしょうかね〜。
因みにこの仮面ライダー響鬼は誰も引き取ってくれなそうだったんですが、Fッチーさんトコのご長女様が持って帰って下さりました。良かった〜。