BAROM・1

BAROM・1 ; HERO 70's


■バロム・ワン、70年代の特撮ヒーローです。小学生二人が腕を組んで「バロムクロス」で変身するという一風変わったヒーローでした。昭和の男子ならすれ違いざまに腕をクロスさせる「バロムクロス」ごっこを一度はした事があると思います。

バロム・1の主題歌は特徴があって、歌詞の半分くらいが擬音で占められてます。
歌い出しが「マッハロッドで、ブロロロロー、ブロロロロ―、ブロロロロ―♪」とインパクト大です。その後も「ぶっとばすんだ、ギュン、ギュギュン♪」とか、「魔人ドルゲを、ルーロルロロ♪」とラリッてる様な意味不明の擬音が続きます。
その後は「やっつけるんだ、ズババババーン♪」と漸く歌詞と擬音が一致したと思ったら、「バロムクロスで、キューンキュン♪」と恋人が見つめ合う青春っぽい擬音が飛び出します。
ちなみに、この’バロムクロス’は男子二人で腕を組むのですが、その都度、二人は見つめ合って’キュンキュン’してるって意味なのでしょうか、、。あまり考えたくないですね。

バロム・1は、ゴルゴ13の作者‘さいとう・たかを’が原作のヒーローです。当時の私は全く知りませんでしたが、大人になって「復刻版バロム・1」の漫画を見て衝撃を受けました。

今回はこの原作漫画版を広めたくて用意した次第です。下に画像を置きますが原作版のバロム・1はインパクトMAXです。
漫画版も子供二人がバロムクロスで合体するトコはTV版と同じなのですが、出来上がる超人が素顔にアイシャドウを塗ったムキムキのオッサン(!?)。髪型もサリーちゃんのパパみたいに両サイドが逆立ってます。
しかも初登場時は、全裸で真夜中の公園の遊具に仁王立ち。その上「バローム!!」と意味不明な言葉を叫んでいます。現代では、全裸になって真夜中の公園で「シンゴー!!」と叫んで、事案発生・即通報・即逮捕の事例がありました。

子供二人が合体して見た目フツーのオッサン顔になるヒーローは、これ以外に見た事はございません。この設定のままTV版が造られていたら(それはそれで別のベクトルで面白かったかも知れませんが)間違い無く人気は無かったと思います。

原作漫画版は長いこと復刻されなかったらしいのですが、作者は黒歴史として闇に葬りたかったのでは、と邪推してしまいます。
ただ、ストーリーは流石にゴルゴ13の作者なので、真面目に出来ています。いつもテレビでヒーロー番組を見てて思う「世界的悪の組織とか宇宙人とか言ってるクセに、なんで日本にしか怪人は来ないのか」と言う疑問にもちゃんと作中で答えています。
巨匠の実写ヒーロー漫画と言えば、手塚治虫の迷作「サンダーマスク」を想い浮べます。アッチは明らかに途中でヤル気を失くしてギャグになったりと迷走してましたが、バロム・1は未完ながらもストーリーは最後までしっかりSFしていました(その分、バロム・1のデザインが残念)。

あとバロム・1は平成になってからアニメ版も造られていました。こっちは全身ミドリ色の宇宙人みたいな全然違うデザイン。「バロム・1だよ」と言われないと分からない容姿です。

実写TV版バロム・1のDVDですが、単巻なのにトンデモなく高いです(なので最終巻だけ)。こればっかは潰れたレンタル屋にもなかったので他で探して買いました。
で、懐かしのバロム・1実写TV版を見たんですが、怪人が異様に気持ち悪い容姿をしています。怪人のモチーフが‘目玉(顔全体が目玉)’とか‘唇(顔全体が唇)’とか人体の一部なので、とにかくキモい(グロい脳の怪人も居ます)。
終わりの方では人体ネタが尽きたのか‘マユゲ’の怪人まで出てきます。‘目玉’とか‘手’をモチーフにした怪人は他の特撮でも結構居ますが、流石に‘マユゲ’の怪人はバロム・1だけだと思います(あと怪人の名前も‘マユゲルゲ’とそのまんま)。
この気色悪い怪人達ですが、ほぼ全員が「お前をコロス〜」とダイレクトに物騒な台詞を吐いて登場します。そのクセ回りくどい作戦ばっか立てて失敗するので、誰も死なない展開がほとんどでした。ショッカー怪人よりも成功率が低い、、、。

昭和ですから、関連玩具は当然ほぼありません。ようやく見付けたバロム・1ソフビ中・小と専用車マッハロッドのトミカだけです。怪人ソフビは全く有りませんでした(怪人の容姿がアレなので、そもそも当時ですら造られていたかどうか)。

バロム・1は原作マンガ1巻、実写TV版DVD最終巻、アニメ版DVDが三巻まで。ソフビが二つとトミカのマッハロッド。これ以上の玩具は見つかりませんでした。
そういや仮面ライダーはキックが必殺技ですが、バロム・1は「バロム爆弾パンチ」と拳が決め技でした。ただし、それは実写版だけで、漫画版は光線銃でバンバン撃ちます(実写版は徒手空拳)。

バロム・1は変身のプロセスは同じなのに、原作、実写、アニメでこんだけ容姿が違います。原作版はアイシャドウを塗ったマッチョなオッサン、、、。
主題歌の最後は「♪みんなで呼ぼうバロムワン、必ず来るぞバロムワン♪」なんですが、こんなコスプレしたオッサンがやって来たら、「なんかチガウ!」って呼んだ方がビックリしそう。

実写版と原作版のシチュエーションは同じ(公園の遊具の上に立ってる)なのに、原作版は露出狂のオッサンにしか見えません。

アイシャドウとサリーちゃんパパ髪型でヒーローを表現すること自体に無理があります。しかも勝手に「バローム!!」と叫び出してしまう仕様。一応、この最初の戦いが終わった後にコプー(バロムワンの上司)から服が貰えます。先に渡しといてやれや!
実写DVDの特典映像にある原作者「さいとう・たかを」へのインタビューで、御本人は「これは良く出来たヒーローだ」と太鼓判を押しておられました。